な、何……?


“見る”というより“観察する”と言った方が正しいのかもしれない。


生徒会長の何にも染まらない漆黒の瞳が、私を捕まえて放さない。




「……行くぞ、蜜」


「うん。じゃあまたあとでね、由楽」


「あ、うん……」




そして生徒会長は私に背を向けてこの場から去っていった。


優木くんも生徒会長のあとを追うように行ってしまった。でもまさか、いきなり名前で……しかも呼び捨てで呼ばれるとは思ってもみなかった。


それにしても、あの生徒会長……なんで私の名前を聞いたときあんな表情をしたんだろう。



意味深な、あの驚いたような企んでいるようなあの表情が、頭にこびりついて離れない。


気にしすぎかな?









――HR後。



「失礼します」



授業が始まる休憩時間。


私たちの教室に、ある来客者が訪れた。




「風都由楽さんはいますか?」




後ろの方の扉から私の名前を口にしたのは、なぜか生徒会副会長の高下さん。