岳斗を見ていたら、つい隠してきた本音を言ってしまいそうになり、私は下唇を噛み締めた。
すると、学園長室の扉がゆっくりと開かれた。
キィ……と音を立てて開いたその扉から入ってきたのは、私を心底嫌っているおばさんだった。
「失礼します。こちらに娘がいると聞いて来たんですが……」
「由楽さんのおば様ですね?お待ちしておりました。由楽さんは今あちらのベットにいます」
「……由楽、大丈夫!?」
望空さんがベットを示すと、おばさんの視線が私へと移された。
他人の目を気にするおばさんは、家以外の場所ではこうやって優しくていい人を演じる。
「お、おばさ……」
「もう、だから朝食は食べていきなさいって言ったのに」
おばさんが私に近寄ると、皆は気を利かせてベットから少し離れた。
本当は、ずっと近くにいてほしかった。あのままずっと、岳斗に手を握ってて欲しかった。
にこやかに微笑んでいるおばさんの目は鋭く細められていて、その尖った眼差しだけで私を脅す。
「家に帰って、栄養のあるものを食べないとね」
「はい……」
怖くておばさんのことを見れない。
おばさんの近くにいることさえ、どうしようもなく恐怖を感じてしまう。



