私は一言お礼を言うと、望空さんは気にしないでと言うように微笑み、フラつく私の体を支えながら学園長室へ連れて行ってくれた。
初めて入る学園長室は意外と広くて、黒と白で統一されたソファやテーブルなどの家具の中に本当にベットまであった。
普通は学園長室にベットなんてないはずなのに……。
仕事の合間に休むためにあるのかな?
「はい、ホットココア」
望空さんは私がベットに横になる前に私を黒のソファに座らせ、温かいホットココアを淹れてくれた
「寝る前に飲むとちょっとは楽になるかも」
「ありがとうございます」
ホットココアを一口飲むと、冷えていた体がだんだんとあったまっていった。
甘くて美味しい……。
「見たところ貧血っぽいわね。ちゃんと朝ごはん食べた?」
「あ、えっと……」
「食べてないのね。ダメよ?ちゃんと食べなきゃ」
目を泳がせた私を見て、望空さんは優しくそう言った。
今までもおばさんの機嫌が悪いときは朝食抜きが多かった。きっとその積み重ねが今になってドッと出てきたのだろう。
「あなたが倒れたりしたら、天国にいるお父様とお母様が心配しちゃうわよ?」
「……はい」
望空さんは私を元気づけるために、そう言ってくれた。
そう、だよね。過保護なお父さんと心配性なお母さんが今の私を見たら、きっと慌てて救急車を呼ぼうとしたり温かい毛布を何枚をかけたりしただろうな。