「岳斗」
そんな皆の会話を微笑ましく見ていた岳斗に、私が声をかける。
岳斗のことが好きだと気づいたせいか、岳斗と目が合っただけで私の胸はドキッと高鳴る。
「おかえりなさい」
だけど、そのドキドキさえも心地よく感じるくらい、今すごく幸せな気持ちだ。
私がふわりと柔らかく微笑むと、岳斗は優しげな瞳で私を見つめた。
まるで、「ただいま」と言っているようなその瞳に、私は釘付けになった。
「岳斗が戻ってきたことを祝して、ケーキでも食べようよ!」
「そうだね。ちょうど昨日チョコケーキ作って持ってきてたし」
「チョコケーキ!?俺の分はちょっと大きめにしろよ!」
「何言ってんの?今日の主役は岳斗なんだから、岳斗が一番大きいのだよ!」
岳斗がいる日常に戻ったおかげで、皆はいつもより元気に笑っている。
心の底から楽しくて甘い気持ちで溢れるこの時間が、いつまでも続くといいな。私は、ずっと皆のそばで笑っていたい。
個性豊かで優しくてちょっと危険な不良さんばかりが集う生徒会。
そんな生徒会メンバーの皆となら、この先どんな試練があっても、どんな困難にぶち当たっても、きっと大丈夫だ。
私は、大好きな皆に一番近い存在になりたい。
どんなことがあっても皆のことを信じて、守って、全てを受け止められるくらいの人間になりたい。
「由楽、早くしないとケーキ食べられちゃうよー?」
そんなことを考えて立ち止まっていた私に、蜜が声をかけた。
皆はもう既に東屋でケーキを食べ始めていて、私は「今行く!」と言って東屋へと向かった。
今の時刻が、門限の6時半を過ぎていることも知らずに――。