よかった、チャイムが鳴ってくれて。あれ以上、何も聞かれなくて済んだ。蜜が納得してくれそうな言い訳が思いつかなかったから、HRが始まってくれて安心した。
プールなんて行けない。本当は水着を持ってるけど、着れない。
……誰にも、こんな醜い体を見せられない。
今は制服で隠れてるから見えないけれど、私の体にはいくつもの傷がついている。
大好きな皆に、私の傷だらけの体を見られたくない。
放課後になり、私は蜜と生徒会室へ向かう。
その途中で、学園長室に入っていく着物を着た品のいいおばあさんを見かけた。
どことなく雰囲気が岳斗に似ているような……。
「なんか厳しそうな人だね」
蜜もおばあさんに気づいて、小さく呟いた。
確かに、礼儀や作法にうるさそうな人だけど、貫禄のある人だなぁ。
「蜜、行こ」
「うん」
学園長室の扉が閉まった音を聞きながら、私は蜜にそう言って再び足を動かした。



