「それじゃあ、由楽のお父さんが岳斗の恩人ってこと!?」


「あぁ。“侍”は俺の憧れの人だ」




目をキラキラと輝かせながら言った蜜に、岳斗ははっきりとそう言った。


……もしかして、




「私を気に入ったって言ったのは、お父さんの娘だから?」




それなら納得がいく。初めて会ったその日に生徒会に招待されて生徒会庶務に任命された理由が『気に入ったから』だったのが腑に落ちる。



「まあ、それもあるが……」


「やっぱり!」



私は岳斗の言葉を途中まで聞いて、そう声を上げた。


そっか、私がお父さんの娘だったからか!なるほどね。憧れの人の娘なら、私の苗字を聞けば興味がわくかもしれない。


ずっとあった心のモヤモヤがすっきりしたかのような気分になった私は、清々しい表情で微笑む。




「……不憫だな」


「ホントにね」


「黙れ」




そんな私を横目に、恭弥と利央がボソッと岳斗に呟いた。


岳斗は呆れたような顔をして、ため息をこぼした。