私が微笑みながらそうお礼を言うと、利央は頬を赤らめながらははっと笑った。




「参ったな……」




前髪をかきあげて私から視線を逸らした利央は、ポツリと呟いた。


利央……?





「本気になる予定じゃなかったのに」






困ったように笑いながら、利央はまた私へと視線を向けた。


さっきよりもずっと熱いその視線に、私の心臓がドキッとなる。


利央は私の髪を一束すくうように手に取り、そっと髪にキスを落とした。




「り、利央!?」


「俺をここまで夢中にさせて、どうなっても知らないよ?」


「へ……??」




ど、どういう意味……?


顔を赤くする私に、利央は優しげな目で微笑む。




「覚悟しててね、由楽」




なぜかまた高い声でそう言った利央。


私はさっきからよくわからなくて、大きく首をかしげる。




「鈍いところも嫌いじゃないよ」




そんな私を見て、利央は含み笑いをしながら呟いた。



花壇に植えてある一輪の桃色の花の花弁が、ひらひらと土の上に舞い落ちる。


ハートの形をしたその花弁は、まるで利央の気持ちそのもので、利央はその花弁の存在に気づくと手に取って、先ほど私の髪にしたみたいにチュッと花弁に口づけした。