私が「ちょっとだけ」と言うと、利央は「そっか」とだけ呟いた。
私はチラッと横目で利央を見た。
ツインテールじゃない利央はなんだか新鮮で、でもやっぱり利央らしさは変わってなくて。
そわそわしていた気持ちが、だんだんと消えていった。
「実は俺……」
“あたし”ではなく“俺”と低い声で言った利央に、違和感を覚えてしまう。
それでも私の心の中には、本当の利央を知れるという嬉しさがあった。
「モデルをやってるんだ」
「モデル……?」
「あぁ。RIOって名前でやっててさ、結構人気もあって、マネージャーにこの学校に通っていることがバレると厄介だから変装してくれって言われて、女装してたんだ」
そういえば黒龍と交戦していたとき、女の子がそんなことを話していたような……。
モデルだから、女装をして本当の姿を隠してたんだ。
「じゃ、じゃあ、バレちゃダメなんじゃ……?」
「いや、いいんだ。バレたらバレたで、不良系モデルっていう新しいジャンルで勝負するってマネージャーが言ってたし」
心配する私に、利央は明るく笑う。