力のある蹴りも不意打ちで襲いかかる拳も、全てかわす岳斗。
寸前まで引き寄せてから避ける岳斗の動きは、蜜や恭弥や利央とは少し違っていて、どこか妖しげで、鋭利な牙を剥くそのタイミングを見計らっているようだった。
「チッ、クソガキ……っ!!」
龍司という人が、岳斗の脇腹を狙って腕を振り上げた。
瞬間、岳斗の漆黒の瞳がギラリと光る。
岳斗は龍司という人の拳が自分の脇腹に入る前に、目にもとまらぬ速さで龍司という人の顎を殴った。
「もう二度と俺らの前に現れるな」
地を這うような低い声で言い放った岳斗に、黒龍の人たちは恐れをなし、黒龍の総長は悔しそうな顔をしながら桜彩学園から出て行った。
総長のあとを追うように、黒龍の人たち全員が校内から去っていった。
最後はあっけなく終わった黒龍との闘い。
その後、体育祭の続きが行われ、金色チームの優勝で波乱の体育祭の幕は下ろされた。
体育祭が終わり、私は利央に呼ばれて裏庭へ行った。
裏庭に着くと、もう既に利央がいて、花を眺めている利央に声をかけると振り返って微笑んだ。
まだ“男の子”の利央には慣れていなくて、そわそわして落ち着かない。
「……驚いた?」
利央の隣に行くと、利央は私の方を見ずにそう聞いてきた。



