岳斗は龍司という人を鋭い瞳に捉えながら、
「学園長」
と一言声に出した。
望空さんはニッと口角を上げ、アナウンスに使っていたマイクを手に取った。
「本当なら校内での喧嘩は禁止なんだけど、今は緊急事態」
望空さんの声が、グラウンドに響き渡る。
利央はその声を聞きながら、喧嘩ができない女の子たちを安全な場所へと避難させていた。
「よって、喧嘩を許可する!大暴れして、黒龍をぶっ倒せ!!」
望空さんの言い放ったその言葉を合図に、桜彩学園の不良さんと黒龍の闘いが始まった。
鈍い音がそこら中から聞こえ、女の子たちは耳を塞いだり怖がって身を縮めていた。
体育祭で体力を消耗している私たちと、鉄パイプやナイフなどあらゆる武器を駆使して闘う黒龍。
圧倒的に不利な状況なのに、勝つ想像しかできないのは、きっと信頼している皆が全力で闘っているから。
たとえ殴られても倒れても、皆の真っ直ぐな目には光があって。
絶対に諦めない皆の気持ちに私の心は揺れて、見ているだけなんて嫌だと思ってしまった。
「……なんでここに女がいるんだ?」
激闘を繰り広げているグラウンドに立ち尽くしていた私を見つけた鉄パイプを持ったある男が、不気味に笑う。



