「お前……」
恭弥の態度に何か気づいた岳斗が、目を丸くする。
「悪ぃな、岳斗。こればっかりはお前が相手でも譲れねぇわ」
「……俺も譲る気はねぇ」
なぜか、バチバチと火花を散らしている二人。
どういう状況か全く理解ができなくて、私は頭上にハテナマークを浮かべる。
「あらあら、大変そうね」
そのとき、ようやく利央が帰ってきた。
利央はこの状況を見ただけで理解できたのか、意味深に微笑む。
そういえば、蜜に利央のことを聞くはずだったけど、タイミング逃しちゃったな……。
「利央、遅かったね。どこに行ってたの?」
戻ってきた利央に、蜜が尋ねる。
「ちょっと髪を直しにね」
「ふーん」
ツインテールを揺らして利央が言うと、蜜は興味なさげに相槌を打った。
利央は口角を上げながら、睨み合っている岳斗と恭弥を見つめる。
「あたしも二人の戦いに参戦しようかしら」
「え?」
利央が呟いたとても小さな声を拾えず聞き返してみても、利央はもう一度言ってはくれず、その代わり口元に人差し指を添えて「秘密」と囁いた。



