グラウンドに戻ると、既に競技が始まっていた。
「由楽、遅かったね」
額の汗を拭っている蜜が私に気づいてそう言った。
私は笑って先ほどのことをごまかしながら、今行われている騎馬戦へと目を向ける。
「蜜一人?」
「うん。三人とも騎馬戦に出場してるよ」
そっか、だからここに来る途中で利央が「先行ってて」って言ったんだ。
あれ?でも、騎馬戦って男の子限定の競技じゃなかったっけ……?
「そういえば、蜜どうだった?100メートル走」
蜜は騎馬戦の前にある100メートル走に出場することになっていたけど、私は女の子たちにリンチされていたせいで、蜜の走ってる姿を見届けることができなかった。
「一位でゴールしたよ」
「すごいっ!おめでと」
「へへっ」
蜜って、頭がいいだけじゃなくて運動もできるんだ。しかも見た目もいいし!完璧人間じゃん。
私は成績も運動も中の中。蜜とは違い、どこにでもいる普通の人間。
なんでこんなにも出来が違うんだろう。神様って不公平だなぁ。
「あっ、岳斗が一騎倒した!」
「……この騎馬戦のルールって、ハチマキを奪うとかじゃないの?」
「違うよ。騎馬を倒すんだよ」
凄烈とした戦いを繰り広げている騎馬戦。
私の知ってる騎馬戦とは少し違うくて、騎馬自体を倒すそのルールのせいか、激しすぎる戦いの中、何人もの不良さんが倒れている。
これは騎馬戦というより、一種の決闘みたいだな……。



