「知ってるよ。…なんで君以外誰もいないのかもね。」
男はそう言うとふふ…と笑った。
どういうこと…?…知ってる?
皆がいない理由を…。
「…なんでって思ってる?」
私が彼の言葉に固まっていると、彼から思わぬ言葉が出た。
「…知ってるのは皆がいない理由だけじゃないよ。」
彼の口からは予想外の言葉ばかり零れ、身体が震えた。
「あ、知らなかったことがひとつ。」
彼はそう言うと、私の耳元へ顔を近づけた。
「…思っていた以上に凛音さんは綺麗だ。」
…今、なんて?
耳が熱くなるのが分かった。
頭がぼーっとする。
「それじゃあ、あがらせてもらうよ。」
気づくと、彼は既に家の中へと入っている。
「綺麗な家だね〜♪」
…なんなのこの人…?
ゴロゴロゴロ…
遠くの方で雷が鳴っているのが聞こえた。