「ご、ごめんっ、あたし帰るね!」


「あ、桜…っ」


呼び止められたのを聞こえない振りをして、飛び出す。


ごめんなさいほんとに…でも、あたしにはもう耐えられる状況じゃない…っ。


外に出ると、遠くまで片付けにいっていたのか、真姫と昂矢くんが戻ってきたところだった。


「あれ、桜、って、なんでそんなびしょびしょなの?」


「ごめんっ、ちょっと先に帰る!」


急いでカバンを掴んでローファーに足を突っ込んで走り出す。


あぁ、もうっ、今日は…だめだっ!