「大学の人? 年上? 可愛い?」 「煩い。お前の知ってるものだけで世界が構築されてると思ってんな」 身を乗り出すあたしの額を押し返してくる。 なんていうか、怒田は考え方が達観していて大人を通り越しておじいちゃんのようだと思う。 「あーあ、普通の彼氏ほしいなあ」 「無理だろうな」 「嘘でも良いから優しい言葉をかけるときだと思う」 ディスプレイに並ぶ「削除しました」の文字。 きっと、こういうときに優しくしないのが怒田の優しさなんだろう。