住んでいるアパートは、駅から徒歩15分のところにある。
築20年となかなか年数はいってるけど、中は思ったより綺麗だしスーパーやコンビニが近くて、駅からそう遠くはないしで、ほぼ即決で決めた物件。おまけに大屋さんが凄く感じの良いひとで、女ひとり暮らしの私を心配していろいろ声をかけてくれる。
仕事の8割は嫌なことだけれど、このアパートに帰ってくるとなぜだかほっとした。もしかしたら実家より落ち着くかもしれない。柔らかな色合いのクリーム色の外壁や、周囲に置かれたよく手入れされた花の鉢植えなんかがそうさせるのか。
時刻はもうそろそろで23時をまわるところだ。アパートまであと数十メートル。水木部長に振られてタクシーを捕まえるまで、ふらふらあてもなく数時間歩いたせいで足はひどく疲労している。
早速、昨日購入したむくみ取りシートの出番だ。十代の頃はこんなにむくんだりしたことなかったんだけどな、と思って、体ばっかりただ大人になって、すこしも女性らしくはなりきれていない自分を嘲笑した。なんだかほんと、情けない。
ずきずきする足に、ハイヒールがさらに痛い。なんだかもう今日はやけくそで、お酒を飲みたい気分だと思った。
近所のコンビニまではおおよそ徒歩3分。明日は金曜日だし、今日は少しくらいたくさん飲んでも大丈夫だろう。
痛さより飲みたい気分がまさった私は、来た道を引き返して、煌々と灯りのつくコンビニへと向かった。

