わなわなと、唇が震えて、顔が紅潮していくのが自分でもわかった。
もう何も言葉にできず、その場から足早に去って、とにかく当てもなくふらふらと歩いて、疲れを自覚した頃にタクシーを捕まえた。
―君を愛してる―
やたら甘めの男性の声がラジオから流れる。頬がひやりとして、自分が泣いていることに気付いた。しかも鼻水もたれてる、最悪だ。タクシーの運転手は、ぐずぐず泣いている私に何も声をかけられないのだろう、無言で車を走らせている。
―でももう、おわりにしよう―
リピートしないでくれ、頼むから。
ぐしゃりとまたひとつ、手に握った紙袋が鳴いた。

