女神は蜘蛛の巣で踊る



 数点の事実だけを照らせば、自ずと怪しいのはマネージャーの新井ということになる。だけれども、犯行当日桑谷夫妻が絡んだせいで調査事務所で目覚めたマネージャーは、全くの素で驚いているように思えた。それに、度胸や行動力という点において、彼が所属歌手を罠に嵌めるようなことをするとは考えられない。

 それに、蜘蛛はどこで絡んでくる?

 それを皆で考えたとき、滝本さんと桑谷さんと刑事が頷いた。

 マネージャーの新井の、新しい借金を作ることになった原因を調べるべきだ、って。

「徹夜で調べたよ。蜘蛛を生田さんが見張っていてくれたから、とにかく急いだんだ」

 夫は時折コーヒーを飲みながら淡々と話す。

 私は素敵な朝食を一瞬で平らげてしまって、身を乗り出して聞いていた。

「それで、判ったの?」

「ああ。やはり同じ人物に行き着いたよ」

「ん?」

「歌手に求婚していた男と、新井の借金元は同じ男だ」

 どうしても北川ミレイを手に入れたい。だけど、本人には断られている。諦め切れない。こうなったらどうやってでも──────

 と、思ったらしい男は、一計を案じた。

「土地成金の沢森という初老の男だ。ヤツが北川ミレイの誘拐を企て、マネージャーの新井をその犯人にしたてようとしたらしい。蜘蛛はそのために働いていた」

「・・・あら、まあ」