女神は蜘蛛の巣で踊る



 夕方、早番で出勤していた私はいつものように5時半で退勤となる。

 マザーバックに詰め込むだけ詰め込んで、ダッシュで職場を出るのもいつものこと。それからチャリをかっとばして雅坊の待つ保育園に飛び込み、ギリギリセーフですね、と先生に言われて雅坊を引き取るのもいつものことだった。

 だけどいつもと違ったのは、今日はチャリにのっけて帰宅した、ということ。いつもは夕日を浴びながら息子と二人でチャリを押して歩いて帰るのだ。その日あったことなどをまだ言葉がうまく喋れない息子が一生懸命話すのを笑いながら聞いたりする。

 それはそれで毎日の中の大事な瞬間なのだ。

 だけど、今日は害虫のためにそれは変更。

「かーちゃ?」

 と不思議そうに聞く息子をチャリの前につっこんで、さっさと帰宅した。

 それからお風呂に入れて、晩ご飯を食べさせる。今晩は雅坊の好きなオムライス。鶏肉で作るのではなく、小さく切ったウィンナーで作るとチビはとても喜ぶのだ。卵の上にチーズをのっけてあげると更に喜ぶ。今晩は機嫌よくいてほしかったので、私はそのスペシャルバージョンを作った。

 わーい、と手をパチパチあわせて、早速オムライスに齧り付く雅を眺めながら、私も一緒に夕食をとる。夫が遅い日にはこれも恒例のことだった。

 今日はビールはなし。仕事上がりのビールはいつでも最高の微笑みを私にくれるけれど、今晩は気を張ってなきゃならないのだ。

 だってこれから、また一仕事────────