ペットボトルやなにやらの証拠もあるし、これまでの経緯を知り合いになってしまった生田刑事に電話で知らせてあとを任せることも出来るのだ(勿論後日の事情聴取が必要だけど)。
と、いうか、そうすべきなのかもしれない。
だけど。
ムカついてるのだ、私は。それに、私達の立場を理解してしまっていた。残念なことに。
この歌手とマネージャーがどういう経緯であの蜘蛛野郎に狙われる羽目になったのかはしらないが、蜘蛛男と乱闘したり部屋に潜んでいたりした私達だって、警察からみたら十分怪しいやつらだろう。
暴力だって働いているわけで。
ということは、きっと取り調べは長引く。根掘りは掘り聞かれ、素直に話すと色々な場面で不快な突っ込みも頂戴するはず。彼らの睡眠薬がどのくらいの長さなのかは知らないけれど、今晩は帰れないかもしれないのだ。
それは、困る。
そんなわけで出来るだけ国家権力にはお出ましになって頂かない方法で、しかも出来るだけ速やかに自分達で片付けたい。そう思ったのだった。その点、調査会社なんてものを経営している知り合いがいるのは、非常に心強いではないか!
私の顔をしばらく眺め、桑谷さんは早々に何かを悟ったようだった。それから、仕方ない、と顔中に大きく書いてこう言った。
「・・・判った。仕事として、依頼する」
電話の向こうで、滝本さんが鼻をならした音が聞こえた。それから、一気に嫌そうな気配を消し去り、静かな営業用の声。
『場所を言え』
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