「おはようございます、金子主任」
「そ、そんな朝から睨まなくても」
「え?睨んでなんかいませんけど、金子主任」
「いや、住んでるところが北17条って言ってたから、近いのかなーくらいに思ってはいたんだけどね」
「その時点で言ってくだされば受ける衝撃がもう少し和らいだと思うんですが、金子主任」
「…………仕事中じゃないんだから、今は主任って呼ばなくても」
困ったように笑う金子を見て、その笑い方は5年前と変わらないなぁと思った。
なんというか、人の良さそうな感じ。
彼が私にキスをしたなんていまだに信じられないし、そんな人にビンタをしてしまった自分を顧みると申し訳なくてたまらない気持ちになる。
あれは金子も悪かったし、私も悪かった。
私は彼のことを覚えていなくて、それできっとショックを与えてしまったのだから。
そして「仕事に集中したい」なんて言っておいてちゃっかり彼氏を作った自分が悪いのだから。
だからってキスしていいかって言われると、それはダメなことなんだけど。



