アイ・ミス・ユー



軽くため息をついた私を見て、金子は少し考えたような仕草をしたあと「俺は別れる気なんてさらさら無いんだけど」と続けた。


「お互い不安になるなら、いっそのこと結婚しちゃう?部長もそれなら黙るでしょ」

「………………………………へ?」


なんとも気の抜けた返事が口から漏れた。
今、私の目の前にいる男。
だいぶすごい発言をしたと思うのだけれど、気のせいだろうか?


「え?け、けけ、けけけけ」

「結婚する?」

「な、何言ってるのよ!!」


まだ付き合って1週間でしょうが!
……という、大きなツッコミを口にする前に彼がしれっとした態度で笑う。


「最初からそのつもりだったし」

「いくらなんでも早すぎるからっ」

「どれくらいなら早くないの?」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ……」

「社内恋愛でいちいち周りの視線気にするくらいなら、もう俺は結婚したい」


目をぱちくりさせて、至って真剣にプロポーズらしきものを普通に言う金子をまじまじと見つめることしか出来なかった。


どうやら本気らしい。