カタログや過去に使用した印刷物、イベントに使う着ぐるみやその他雑務で時折出し入れする物を収納している、いわゆる備品倉庫部屋が社内にひとつある。
さして大きくもないその部屋に、私と金子。
「今野ってなんであんなにおしゃべりなんだろうな」
私の尋問を受けた金子が、深々とため息をついている。
もうあまりにも仕事に集中出来なくなったので、合間を見て彼を呼び出し、お見合い話の真偽の程を確かめることにしたのだ。
「おかげでちっとも仕事が手につかないのっ。どうしてくれるのよ」
「心配しないでよ。ちゃんと断ったから。彼女いますから、って。そんなに信用ないかな、俺」
「そ、そういうわけじゃ……」
答えに詰まって、ハッと我に返る。
なんか……私、すごく重い女になってない?
今までこんなに相手の心配とかしたことがあっただろうか?
健也がイケメンだろうがモテようが、あまり気にも留めなかったのに。
どうしちゃったの、私。
「あーもう!私、いつか絶対愛想尽かされちゃう!」
倉庫部屋の中で、悲しいやら虚しいやらで両手で顔を覆った。
突然わめき出した私に驚いた顔をした金子が、アワアワと焦った表情へ変わる。
「えっ、なんでそうなるの!?」
「ちゃんと信じてるの。信じてるけど、まだ付き合って日も浅いし、色々不安になっちゃって。あぁ、なんてめんどくさい女なんだろ!」
「お、落ち着いて」



