今ここでそれ聞く!?
頭の中でツッコミながらも、曖昧に答えを濁す。


「婚活って具体的に何をすればいいのか分かんないし、知らない人ばっかのパーティーに行ってちゃんと話ができるかも微妙だし、まだちっとも進んでないわよ」

「じゃあなんで婚活するなんて言ってたの?」

「それは……」


モゴモゴと言い詰まっていると、彼はそんな私を不思議そうに見つめるのだった。


言えない。
口が裂けても言えない。


金子を恋愛対象にしないために、早めにいい人を探そうと思ったなんて。
そんなの「好き」と言ってるみたいで言えない。


そこまで考えて、ハタと箸を止めた。


え?なに?
私、もしかして金子のこと好きなの?
薄々気づいてはいたけど、もう確定しちゃったの?


チラリと隣を見ると、彼のシャープな目元とか、直し切れなかったらしい後頭部の寝癖とか、ラーメンのスープがはねて胸元が少し汚れたワイシャツとか、よく見えた。


仕事から離れた、無防備な素の彼だ。


なんか、この人と一緒にいるとリラックス出来る気がした。
それはきっと金子も同じなのだと思う。


だけど、私たちは━━━━━。


チャラにしようとは言ったものの、お互いに歩み寄れない「やらかした」過去がある。
そのせいなのか、私は肝心なところで素直になれない。