普段の冷静な私なら、その日初めて会った人に自分の過去を話すなんてことはしないだろう。というより、それが普通だ。
だが、今の私は少なからず酔っていたし、隣に座る荒木先生の温もりに安堵したしで、何だか荒木先生なら大丈夫な気がした。
彼に、「過去」を全て話すことを決断したのだ。


それは、大学1年の頃。
私には、構内に好きな人がいた。
相手も好きでいてくれたらしく、秋に告白された。
そこまでは良かった。
だが、だんだんすれ違うようになり、丁度二年後に別れてしまった。というより私から振った。

そこから、恐怖の日々が始まったのだ。
毎日毎日、復縁を迫る電話とメール(一日で大体500回)。
大学から私の家までストーカー。
あとは、無理矢理奴の車に乗せられたり。

お陰様でこちらは男性恐怖症&恋愛恐怖症になった。
男性恐怖症は大学卒業までに治せたけれど、恋愛恐怖症は今でも治らない。

結局、教師になってからは私も一人暮らしを始めた為、奴も追いかける気力を無くしたようだ。

今は、前に比べれば平和な日々を送っている。