マサキだったら・・・?

きっと、マサキなら迷わずお見舞いに行くよね。

「俺が行かなきゃ誰が行く」みないなノリで。

マサキは、兄や私にはない『ぶれない強さ』があるんだ。

ふとそう思った。

兄がマサキに叶わないこと。

・・・ぶれない強さ。

兄も私もいつだってぶれてばかりだ。

一度決めたっていつも悩んでる。

ぶれなかったら、きっと後悔もしないんだろう。

そう気づいたら、今ある不安が少しだけ減ったような気がした。

おばちゃんのために週末は行こう。

きっと大丈夫だ。

私の元気わけてあげれる。


「ご飯できたわよ。お兄ちゃん呼んできて。」

キッチンから母の声が聞こえた。

「はぁい。」

そう言うとソファーから立ち上がって、階段を駆け上った。

兄の部屋をノックする。

兄はすぐに扉を開けた。

さっきみたいにぼんやりとした目からは随分覚醒しているような気がした。

あれからきっと起きてたのね。

「ご飯だって。」

「わかった。今降りるよ。」

「勉強してたの?」

聞かなくていいこと聞いてしまったと思う。

「お前には関係ない。」

ほらきた。

お決まりのお返事だよ。

妹をなんだと思ってんのかしらね。下に見すぎだっての。

「あそ。」

そう言うと、兄にひらりと背を向けてまた階段を急いで降りて行った。