「俺の気持ち、伝わるかなと思って」そう言って私の指にはめてくれた。

私はそれを見ながら、「ありがとうございます!」と言った。

そして私たちは立ち上がると手を繋ぎながら歩き始めた。

こんなに幸せを感じれるのは初めてかもしれない。岬さんと付き合ってた時はここまでは感じなかった。

やっぱり岬さんは私にとっては憧れの先輩だったのかもしれない。

そして拓斗さんは私の運命の人…

何となくだけどそんな感じがした。

初めて会ったのは、涼に出会って兄だと紹介されたあの日だ。

何度も一緒に試合見に行っては応援してたっけ。

涼がかなり自慢げに話すから。

しばらく私たちは歩いて、小さなカフェに入る。

他愛ない話して…けど…ほんとに嬉しくて、楽しくて。

終始笑顔で過ごせた。

その後、いつもの場所で二人でマンツーマンでバスケしたりして。

楽しい1日があっという間に終わってしまった。

家まで送ってもらい、私は家の中に入った。

お父さんとお母さんはニコニコしながら

「おかえり」と言ってくれた。

食卓についた私は今日の出来事を話、

拓斗さんと付き合うことにしたと話した。

おめでとうと笑顔で言ってくれた。

その日から、私と拓斗さんは恋人として一緒に過ごすようになった。

夏休みも拓斗さんと一緒に過ごすようになって、拓斗さんと共に部活づけの毎日を送った。

夏休みが終り、新学期が始まった。

本格的な受験シーズンを迎え、みよりは大学進学のため、学校を絞り始めていた。

私も就職準備として、勉強と部活に励んだ。

そんな私を1番近くで見守り、支えてくれるのは拓斗さんで、頑張れた。

秋になったある日、

練習中に涼が見に来ていた。

「涼?どしたの?」と私が言うと、

「いやぁ、怜央に会いに来た」と涼は行った。

私は怜央を呼んで、涼たちは体育館を出ていくのを見送った。

二人が何を話したかはわからない。

けどしばらくして複雑そうな顔をして帰ってきた怜央。

涼は帰ったらしい。

私には何も言ってくれなかった。

この時は誰も、何も。