サムデイ アナザーデイ

僕は、林に行った。

「キミカちゃんが北極に向かう一週間前だ。僕の言っている時間は分かるか?」

「分かるよ。自分もキミカちゃんの御葬式に行った。


止めてこいよ、北極行きを!」


彼は、そう言って僕の目の前にある大きいレバーを引いてタイムマシンを出て行った。

その瞬間、空間が歪んだ気がした。

僕は、地面に引っ張られた。椅子から転げ落ちて床に吸い寄せられた。

どれだけ時間が経ったかは分からないが、いつの間にか体は軽くなり僕は、立ち上がるとタイムマシンを出た。

タイムマシンは、草原にポツリとあり、僕は、手にしていた枯れた花束をおき、ボロボロの上着を脱いで草原を走り抜けた。

すると、見慣れた風景がー。

僕の街だ。

僕は、あらかじめ調べておいた、キミカちゃんの実家の住所に急いだ。家の前に着いた。

太陽が高い。昼くらいだろう。

キミカちゃんの家の玄関を、近くの電信柱に隠れて見ていた。しばらくすると、二人の女性が出てきた。

顔も背格好も、よく似た二人。

二人は何か話して、一人は玄関から出て右に、一人は左に歩いて行った。

僕は、その瞬間、叫んだ。

「お姫さま!!」

一人だけが僕の方向を振り向いた。

(おわり)