翌日、仕事で家を出た時、思わず辺りを見回してしまった。


一晩寝て、テンションが落ち着いた俺は昨日の恐怖が少しだけ蘇っていた。


よしっ誰も居ない。 さすがに居る訳がないのだが、元々神経質な俺は確認せずにはいられない。


その日からしばらく何事もなく過ごしていた。 次の休日、友人と食事に行った時にその時の話をしてみたら、『さすがモテるなー。』と冷やかされるだけだった。俺がそんなに深刻じゃない雰囲気で話したからだろうけど、友人は大して気に留めなかった。


せっかくの休日にあまり暗くなるのもなんだったので、全然大した事じゃ無いんだけど…って前置きしたのがいけなかったな。 俺はもう少し親身になって欲しかったんだ。


ただ、その事で友人を責める道理はないので、俺は『そんなんじゃねーよ。』って笑いながら答えた。


『で、どうするの?』

友人が不意に聞いてきた。


『何が?』

『いや、そのストーカー放っとくの??』

今の段階で警察に相談した所で、何も取り合ってくれないに決まってる。 実害が全くないからだ。 事件が起きてからでないと警察は動けない、これを俺は身を持って知っている。

だから『とりあえず様子見。』とだけ答えておいた。