不幸というのは一気にくるもので、人というのは不幸が起きれば何もかもを失った気がしてしまう。
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荷物を持って校門を出たとき。
私は辛くて周りを見ていなかった。
「…もう、こんなのやだよ。全部忘れちゃいたい……」
そう呟いたら、1番嫌いな人の声が聞こえた。
「死んじゃえば忘れられるよ。だから死んで?」
萌南ちゃんの低い声で言われた言葉はあまりにも衝撃的で、一瞬の出来事だった。
ドンッと背中が押されて私は道路の真ん中で転がってしまって。
「美来!危ない!!!」
そう聞こえたと思ったら数メートル先には大型トラックが走ってきていた。
逃げたいのに、足が動かない。
引かれる、と思った時、一瞬で体が包まれたと同時にトラックの大きいクラクションの音と体が衝突する音が耳に聞こえた。
「キャーッ!」
周りにいた女子高生が大きな叫び声をあげたと思って体を上げようとすると激痛が走って、体にはなんだか生暖かい感触がした。
震えていてもなんとか動かせた手を動かしてそこに当てて自分の目で見ると手は真っ赤になっていて。
すぐに私を抱きしめている人の顔を見れば想で。
その血が想のものだとわかると一瞬で血の気が引いた。
「う…そ………わたし…どー、しよう…」
想が…想が死んじゃう。
こんな時なのに想は私にいつもの笑顔を向けていて私にこう言った。
「愛してる…力に……なれなくて、ごめんな」
そして想は目をゆっくりと閉じたのだった。