「美来…なにがあったとは聞かないけど今、大丈夫じゃないんでしょ?辛いんでしょ?」
「っ…」
保健室、じゃなくて空き教室に入った私たち
私は何もしゃべれないままだ。
「最近、美来おかしいよ?なにをしてても上の空で、気づいたら辛そうな顔してて、もう見てらんないよ…」
そんなこと思ってたなんて、思わなかった。
辛いのは私だけだって思ってた。
全然、そんなんじゃないじゃん。
想だって私の様子がおかしいのに気づいてて話しかけてくれるのに、野葉菜だってこうやって味方してくれるのに、あたしはなにもできてなくて自分が全部被害者だと思ってる。
本当は、違うのに。
どこまでもずるくて最低で私は全部自分がかわいそうと思えるように考えを進めてるんだ。
「ごめん、私、ひど、すぎるよね……っ…」
泣いちゃいけないのに、溢れ出てくる涙は止められない。
「ねえ、あたしは美来を親友だと思ってるよ。そんなにあたし美来にとって頼りない存在?」
「ちがっ…違うよ、そんなんじゃなくて野葉菜は私の親友だよ。だけど、言えない、誰にも言えないんだよっ…」
想と今気まづい常態なのに野葉菜とまで距離を置いたらいやだ。
そう言いたいのに、言ってしまったらどこまでも、ストーカーのことまでも全部言ってしまいそうで言えない。
