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「ここの空き教室でいいよね?」
「あ、うん」
ピシャンという、ドアの閉まる音がこの2人の緊張感を増加させる。
そんなこと思ってるのは私だけかもしれないけど。
「本当に大丈夫?過呼吸」
余裕の可愛いいつもの作り笑いを浮かべながらそういう萌南ちゃんはすべてわかってるのだと思う。
私が、萌南ちゃんに会ったから過呼吸になったってことを。
「全然、大丈夫。普段からたまになっちゃうんだ。心配してくれてありがとう」
萌南ちゃんがこんなに余裕なら、私もそのくらいの余裕を持たないとダメだ。
そうじゃないとこの空気に耐えられない。
「それで、美来ちゃんて想君のこと、もう忘れたの?」
「!……っ」
ダメだ。やっぱり耐えられそうにない。
この子は全部計算でやってる。
「忘れた、なんてことないよね?」
わざと、私の心をグサグサと刺すようなトゲのある言葉で。
