「ねー、いいでしょ?俺と遊ぼ?」
「痛っ。腕、離してください。」
どーしよう……。
羽湖ちゃん来ないし、このままじゃこの人に連れて行かれそうで怖い…。
もう泣きそう…。
私の目からは涙が落ちそうなくらいこの人が怖い。
誰か、助けて…。
「あの。この子の手離してくれます?」
「っ!!」
……陽先輩。
なんで、いつも困った時にいてくれるの?
そしてなんで助けてくれるの?
自分から誰かに助けてほしいと願ったくせに、それが陽先輩だと胸が苦しくなる。
でも、反対に助けてくれたのが陽先輩で私の心は安心している。
どっちの気持ちも持つ私がいてやっぱり私は変だ。
「あのさ、この子、俺が先に見つけて今一緒に遊びに行くとこなんだけど。」
「は?お前ふざけてんのか。美来は俺の彼女なんだけど。
しかもその手、さっさと放せよ。」
…美来。
それとともに放たれた彼女という言葉。
なぜかそれに胸が高鳴って。
それが私を守ってくれてる言葉だとわかってるのに、本当だったらと思うのはなんでなんだろ。
