――キーンコーンカーンコーン。
朝のHR開始のチャイムが鳴り響き、フユちゃんが教室に入ってきて、私達は静かに席に着いた。
「おはようございます」
フユちゃんの美声が紡ぐ挨拶は、いつも聞き惚れてしまう。
だけど、今日の私には、そんな余裕はどこにもなかった。
昨日の帰り道では、笑顔を見せてくれたのに。
今日は、あんなにも温度を感じない表情を向けられた。
さっきから、ズキズキする。心臓にトゲが刺さってるみたいだ。
ふと瞳を動かすと、千を捉えた。
……どうしよう。
視界が涙で霞んでいく。
こんなところで泣きたくなんてないのに、溢れる涙を止められない。
私は千を視界から外し、俯く。
もう千は、あの明るい笑顔を見せてくれないのかな?



