しつこいくらい「千」って呼んだら、ようやく千が足を止めて振り返った。
その時の千の目は、とても怖かった。
「関わるなって言ったのは、お前の方だろ?」
「……え?何それ。私、そんなこと言ってない!」
「メールで送ってきただろうが」
千は吐き捨てるようにそう言い放つと、自分の席へと再び足を動かした。
関わるな?……そんなこと、絶対に千に言うはずない。
どうなってるの?
私が千に送ったのは、感謝の言葉なのに。
「桃葉、何かあったの?」
「ケンカでもした?」
呆然としている私に、桜と瑛美が心配してそう聞いてきた。
「……わかんない」
私にも、わからないよ。誰かに説明して欲しいくらい。
私の心は、好きな人に嫌われたかもしれない苦しみによって、ボロボロに傷ついていた。