瑛美は、授業そっちのけで芹沢を見つめている。
その眼差しにまるで気づかない芹沢は、今は英語の授業中だというのに、先生にバレないようにこっそりと数学の宿題をしていた。
真面目な桜は、集中してノートを取っている。
よく、見える。
誰が誰に好意を持っているのか。
まだ形として成り立っていない、関係図が。
周りは展望できても、自分自身のことなんてさっぱりわからない。
私はどう見えているんだろう。
恋も知らないおこちゃまな私は、きっと、名前のない関係図の枠の外。
だからかな、ちょっと寂しい気持ちになるのは。
小さく顔を横に振って、寂しさを取り払う。
こぼれそうになったため息を呑み込んで、シャーペンを持つ手に力を入れた。
桜みたいに真面目になろう!
意気込んで、授業に取り組もうとする。ノートに文字を書こうとしたら、力を入れすぎたせいか、シャー芯がポキッと折れてしまった。



