初めて「桃葉」って言ってくれた千の、ずっと聞いていたくなるその声を、脳内で何度も何度も再生させる。
堪えていた恐怖と悔しさがいっぱい詰まった涙が、頬を伝って流れていった。
「部長」
低い声を発した千は、小佐田先輩を睨みつける。
「もうこいつのあとをつけたりしないでください。それと、またこいつを怖がらせたり泣かせたりしたら、許しませんから」
千の優しさが、さらに涙を誘った。
千、ありがとう。
もう、どうしようもないくらい、君が好き。
私は、君の“特別”になりたい。
君の「好き」が、全て私へのものになって欲しい。
千の温度を感じる。
不安定に揺れていた感情が、落ち着いていく。
視線を上げると、千の無愛想な表情が見えた。
心なしか、千の表情がいつもよりちょっと柔らかく見える。
やっぱり、君は誰よりも温かくて優しいね。



