「部活なしなんて珍しいね」
「なんで部活ないの?」
「三年が模試だからだってさ」
私の疑問にすぐ答えると、矢畑はそのまま自分の席へ戻っていった。
矢畑についていくように、芹沢と矢崎も矢畑の席の周りへ行ってしまった。
バスケ部は毎日朝練がある。放課後は毎週火曜日が休みなのだが、今日は木曜日。
火曜日じゃないのに休みになる日は、時々しかない。
早速模試があるなんて、三年生は忙しいなぁ。
昼休みが終わり、午後の授業が始まった。
私の席は、廊下側から二列目の一番後ろ。
ここからだと、よく見える。教室の隅から隅まで、はっきりと。
矢畑と矢崎は、くだらないことを喋っている。
矢畑の席の前は、矢崎の席だ。
元々、矢畑と芹沢は同じバスケ部同士、仲が良かった。矢畑と矢崎は互いの苗字に「矢」がつき、席順も近いからか、今年同じクラスになってすぐに仲良くなっていた。
矢畑と矢崎と芹沢の三人が一緒にいると、女の子の視線が集まる。
モテオーラみたいなものがあるのかな。



