恐怖のあまり、声が大きくなる。
周りを見渡してみても、誰もいない。
けれど、人の気配は感じる。
「誰なの……?」
涙目になった視界で、私のあとをつけている“誰か”を探す。
ストーカー――そんな言葉が浮かんだせいで、手足が震えた。
私は、誰かに見張られているような感覚になり、その感覚を捨て去るように走って家へと向かった。
どうしようもない怖さに、息が荒れる。
「……金井」
どれだけ速く走っても、聞こえてくる足音と私を呼ぶ声。
ホラー映画の中に入り込んだような気分だ。
「好きだよ」
誰かの不気味なその声が紡いだ言葉に、鳥肌が立った。
……好き?どうして?あなたは誰なの?
それに、私、この声を知っているような……。
混乱している頭の中に並べられたいろんな疑問に答えられるわけがなくて、やめてと叫んで耳を塞いだ。



