桜は三人の中で……いや、クラスの中で一番女子力が高いと言っても過言ではない。
料理が上手で、おしゃれで、優しくて。密かに憧れている。
もちろんいろんな男子にモテモテだが、本人はそのことに一切気づいていない。
そんな鈍いところが、桜らしいけどね。
「そうだよ!途中で二人きりになって猛アタックしちゃえ」
続けて私も、口を尖らせている瑛美を励ます。
それでも、まだふてくされてる様子だった。
瑛美を見てると、恋っていいなって思う。
どんなに空回っても、ムキになっても、どうしたって好きっていう気持ちは変わらなくて。
一途な想いを募らせながら恋をする女の子は、すごく可愛いんだ。
「……はぁ、あいつがもう少し鋭かったらな~」
「なーんの話してんの?」
ため息混じりに呟いた瑛美の背後から声をかけてきたのは、噂の“あいつ”。
瑛美はビクッと肩を揺らして、反射的に振り向いた。