件名:大好きな君へ





「いつの間にか、気になる存在から好きな人になってたんだよね」



恥ずかしそうに、だけど愛おしそうに囁いた瑛美が、なんだか微笑ましかった。



気になる存在から、好きな人へ……。



――不意に脳裏を過った、矢畑のシュート姿。



心臓がドキッと跳ねる。



……ん?


なんで今、矢畑のことが頭に浮かんだんだろう。



「桃葉、どうしたの?」


「あ、いや、恋の力ってすごいなって」



矢畑の姿を想起していた、と正直に明かしたら、絶対瑛美は恋愛と繋げて妄想し出す。


それが怖くて、あははと乾いた笑顔を顔に貼り付けた。




きっと、矢畑の姿が真っ先に浮かんだことに、意味なんてないよね。


たまたま今日の朝練のことを思い返しただけ。印象的だったし、迫力あったし、すごかったし。自然と思い返しちゃうのも無理ないよね。うん、うん。



それ以外、疑問の答えとなるものは、全く思いつかなかった。