先月、中学二年生になったばかり私たち。
気慣れたセーラー服をまとって、今でも抵抗のある厳しいルールに縛られながら、なんとか学校生活を送っている。
「せっかくあいつをデートに誘ったのに、デートだと思われなかったよぉ~」
瑛美は悔しげに下唇を出して、机に突っ伏した。
長い髪の人は結ばなくてはいけない校則があるため、瑛美は傷みのない黒髪を下の方で二つに結っている。
ちなみに私も、栗色の髪を斜め下でまとめている。
瑛美には、好きな人がいる。
桜に似ておっとりしてそうな外見だが、実は思ったことをはっきりと言うタイプ。
好きな人ができたら、積極的にアピールしちゃう性格なんだ。
「もうっ、何なのあいつ!なんで『一緒に遊びに行かない?』って勇気を出して誘ったのに、『いいね!今度、皆で遊ぼうぜ』って返ってくるの!?」
愚痴をこぼしながら、やけ食いするみたいにおにぎりを豪快に頬張る。
「ホントにありえない!!」
「でも、遊ぶ約束できてよかったね」
桜は目尻をくしゃっとさせて慰めた。