きっと誰もが、おまじないの効果なんて本気で信じていない。
心のどこかで、本当に恋が成就するようなおまじないなど、この世に存在しないことはわかっているはずだ。
それでも頼ってしまうのは、恋をすると自信がなくなって、弱くなっちゃうせいなんだろうな。
「頑張ってみる」
俯きながらも決心した瑛美の表情は、直進的でたくましかった。
誰かを想う気持ちは、表情にも表れるのかな。
頑張れ。
そう応援したくなる姿に、私は口角を上げて微笑んだ。
焼肉弁当を完食し、一人でお手洗いに行った帰り。
「お、いいところに来た」
教室へ戻ろうと廊下を歩いていると、理科室の前を通った時にヌマセンに声をかけられた。
げ。なんか、嫌な予感。
「このプリントとノートを持って行ってくれ」
……予感的中。
タイミング最悪。雑用頼まれるってわかってたら、理科室の前なんか通らなかったのに!



