今度は、声をかけられないくらい、興奮しただけ。
それだけ、だよね?
「ならいいけど」
すぐに逸らされた視線。
それがなぜか異様に寂しく感じる。
今日の私、やっぱり変。風邪でもひいちゃったかな。
「遅くなっちゃったー!」
瑛美の慌てた声が、体育館に響き渡った。自分自身に戸惑っていた気持ちをかき消す。
猛ダッシュでここまで来たらしく、瑛美の呼吸は乱れていた。
「おはよう、瑛美」
「桃葉、おはよ!もしかして、遅刻?」
「ううん、大丈夫だよ。私もさっき来たところ」
私がそう言って微笑むと、瑛美はホッと息をついた。