心臓が、なんだか変だ。
グッ、ってなったり。ギュン、ってなったり。トクトク、ってなったり。
なんだろう、この感覚は。
甘く高鳴るこの鼓動は、何……?
矢畑がまた3ポイントシュートを決めたというのに、私は「すごい」と語彙力のない褒め方をして賑やかになることなく、ただ立ち尽くしていた。
頬が熱くなって、赤く染まっていく。
あれ?私、どうしちゃったんだろう。
どうしてこんなにも、ドキドキうるさいの?
「金井?」
「へ!?」
私の様子がおかしいことに気づいた矢畑が、ボールを突きながら声をかけてきた。
目が合って、肩がビクリと上がる。
「どうかしたのか?」
「な、なんでもないよ」
……なんでもないはず。
ちょっとだけ、胸らへんが騒がしくなっただけ。
きっと、3ポイントシュートがまた決まって、嬉しくなっただけだ。