今、互いの想いが重なったのは、皆が背中を押してくれたからだ。


何回「ありがとう」って言っても、足りない。



そっと、千の大きな手のひらが涙で濡れた頬に触れた。


私は恥ずかしそうに目を伏せて、千を見つめてから、ゆっくりと目を閉じる。



言葉は、相手に届けてしまったら、もう二度と消せない。


たったひとつの言葉で、全てを失う可能性だってある。


それでも相手を信じてしまうのは、想ってしまうのは、期待しているから。


今日に、明日に、未来に、そして相手に。



「桃葉」



千の声が、私の名前を紡ぐ。


愛おしくてたまらなくなって、耳たぶが赤く染まった。



ねぇ、千。


多分、私達はまた傷ついて、すれ違って、苦しむ。


だけどその度に、「大好き」って言って、想いを言葉にして伝え合おうね。