「千!碧!いっけー!!」
ギャラリーから、一際目立つ声援が聞こえてきた。
矢崎の声だ。
矢崎からのエールが力になったかのように、千は3ポイントラインより少し外側の位置からボールを放った。
ボールはリング上をクルクルと回り、ストンとネットを通り抜けた。
66対68。あとたった2点差。
残り時間は既に1分を切っている。
芹沢はドリブルを突きながら、ディフェンスを抜いていく。
息を呑む数秒間。
「千!!」
芹沢からいろんな思いが込められたボールを受け取った千は、先程のシュートした位置よりもさらに外側でボールをセットする。
試合終了までのカウントダウンが始まる。
「千、頑張れー!」
気づいたら、大声を出していた。