体育館の重い扉を開ける。ダムダム……とボールが弾む音が聞こえてきた。
次いで、キュッキュッと鳴るバッシュの音が、体育館に響く。
扉側から真正面に見える時計は、7時15分を示していた。
あれ、こんなに早かったっけ?もしかして寝ぼけてて、ちょっと早く家を出ちゃったかな。
普通なら少しでも寝たくて、30分ちょうどに体育館に来る人が多い。
でも――。
扉が締まると同時に、3ポイントエリアから投げられたボールが綺麗な弧を描いて、リングを通った。
ゴールが決まった瞬間が、目に留まる。
「すごい……」
思わず、感嘆がこぼれた。
「矢畑、すごいね!今の3ポイントシュートでしょ!?」
「金井、早いな」
3ポイントシュートを決めた矢畑に近寄って、挨拶も忘れて「すごいすごい」とはしゃいだ。
熱のこもった興奮を受け取りながら、矢畑は額から流れる汗を拭う。



