俺の言葉を待つことなく、桃葉は続けて言う。
『すっごく悔しそうにしてたり、熱くなったり、無我夢中になったり』
焦っていた心臓が、落ち着いていく。
ドキ、ドキ、ドキ。
規則的に脈を打つ。
『傷ついても頑張れちゃうくらい、好きなんだね』
手首のテーピングが終わった。
手首を少し動かす。
『ほら、行ってきな』
『金井、ありがとな』
『お礼はいいから。だって私、マネージャーだもん』
トン、と背中を押された俺は、そのままヌマセンの元へ行った。
ヌマセンは俺の表情を見ると口角を上げた。
『暴れてこい』
『うっす!』



