そういえば、と雨の音を聞いて思い出した。


桃葉が好きだと気づいた日も、今日みたいな雨の日だった。






一年の冬。


一年だけで行われた練習試合があった日。



『っ!』


――ピーー!!



俺は対戦相手にぶつかり転倒した際、手首を痛めてしまった。


笛の音にハッとする。



『交代だ』


『俺、まだやれます』



手首の痛みなんて大したことないと伝えても、ヌマセンは首を横に振った。



『テーピングしてこい』


『……はい』



顧問の意見には、絶対服従。それは、バスケ部の暗黙のルールだった。